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《森の植物の歳時記》[255]【フラサバソウ】

寒さの残る早春の道端で、かつてはオオイヌノフグリが多く見られましたが、近年、フラサバソウが取って代わっているかのような光景を見かけます。
花も小さく、オオイヌノフグリほど鮮やかな花色ではないので、気づかないまま通り過ぎておられる方も多いかもしれません。
ヨーロッパ原産で、明治時代に長崎で確認されたとの記録が残っています。
植物名は関わったフランス人 フランシェFranchet とサヴァチエ Savatier の名前に因んでつけられました。
フラサバソウの果実は丸っこくて、ごく浅い溝があるのみですのでオオイヌノフグリの果実の形とは異なります。
果実の中に入っている種子は4個で、1個の大きさは2.5㍉と大きめです。オオイヌノフグリは1個の果実の中に種子18個が入っていて、1個の大きさは1.5㍉です。フラサバソウは花は小さくても、種子は大きいということのようです。
種子の中央部にエライオソームと呼ばれる脂肪酸や糖からなるアリの好物があって、アリが種子散布に関わります。オオイヌノフグリとフラサバソウの種子を並べて置いて、アリの反応を見た実験で、アリは迷うことなく、フラサバソウに群れるとの報告があります。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)

フラサバソウ  

フラサバソウの種子

オオイヌノフグリ