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《森の植物の歳時記》[254]【ゼラニウム】別名 テンジクアオイ(天竺葵)

ヨーロッパの街並みを写した写真などで、窓辺に飾られている花は、多くの場合、ゼラニウムのようです。南アフリカ原産の植物なのですが、18世紀には、特に虫よけ効果のある品種がヨーロッパに広まっていました。
日本へは江戸時代末期(19世紀末)に移入したとの記録があります。
ゼラニウムはギリシア語のゼラノス(鶴)に由来し、果実の形を鶴のくちばしに見立てたものです。テンジクアオイはインドの古名、天竺に由来しますが、インドとの関りはありません。
明治時代終わりころから人気が高まり、大正時代には輸入された品種をもとにした独自の栽培が始まっています。昭和初期になるとブームが起こるほどの人気を集めています。
一般的には、3~12月が花期なのですが、環境によっては年間を通して咲き続けるものもあります。
花色は赤、ピンク、白色など様々ですし、一重咲きだけでなく、八重咲きもあります。
一年を通して、日当たりと風通しの良い場所で育てることができます。耐寒性がやや弱いのですが、軒下や簡単な防寒によって屋外で冬越しさせることができます。明るい窓辺に取り込むと、冬でも花を楽しむことができます。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)

ゼラニウム