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《森の植物の歳時記》 [168] 【カキドオシ(垣通し) 別名 カントリソウ(癇取り草)】

お散歩の道端で地面を這うように伸びて、淡紫色の花を咲かせる草に気づかれる方は多いでしょうか。花の内側の斑紋は虫を呼ぶ目印
で、誘われた虫が受粉に貢献します。垣根を通り抜けて伸びることから「垣根通し」、「垣通し」と転化した名前と言われています。
葉や茎を揉んで匂いを嗅ぐと、すっとするような香りがします。子供の癇の虫を抑える効果があるとされて、カントリソウと呼ばれました。グラウンド・アイビーground-ivyなどの名前でハーブとして売られていることもあります。
丸い葉の形をお金に見立て、茎で連なっていることからレンセンソウ(連銭草)とよばれ、生薬として、利尿、解毒、消炎作用があるとされています。
ハーブティーとしての利用されることもあり、洋の東西を問わず、身近にある薬草として知られていた植物ですが、現在は利用されることは少ないようです。
地面を這うように伸びる茎は、節から根を出して増えます。節から出る根で木に張り付いて伸びることもあります。種子繁殖もしますので、広い範囲に生育していることもご納得いただけるでしょうか。

廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)