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《学びの森の生態図鑑No.29》

■夏の遊歩道■
今年の夏は暑いですね。毎日、セミの大合唱を聞きながら過ごしています。ミンミン、ジリジリ、ニイニイが一斉に鳴くと、もう、何が何やら・・・時々、ツクツクボーシが聞こえます。カナカナカナカナは、もう夕方かなあ?
今回は、夏の遊歩道の散策の様子をお知らせしましょう。

カラスアゲハにお見送りされて
中央記念館前にはお手製のミストがあり、チョウたちがよく吸水に来ます。今日はカラスアゲハ。見る角度によって微妙に輝きが異なり、さまざまな色合いが楽しめます。「カラスの濡れ羽色」からの命名。「カラス」とつくものにはあまり、いい意味がないようですが、これだけは別格です。

遊歩道にハギの一番花とマテバシイの青い実
遊歩道の始まり付近のハギが数輪、咲いていました。暑いのに、そろそろ、秋の風情でしょうか?向かい側のマテバシイには小さなドングリ、季節は、ちゃんと準備しています。

足元には・・・
足元でがさごそと音がしてバッタが飛んでいきます。ショウリョウバッタとクルマバッタかな?
一緒になってぴょんぴょんしているのはカエルたち。
アズマヒキガエル:東日本に広く住んでいます。大きくなると18㎝と巨大になりますが、今、このあたりにいるのは、ちびっこたちです。ヒキガエルは毒があり、触ってしまったら手を洗うのが基本。
ニホンアカガエル:背中の線が2本まっすぐです。ヤマアカガエルとよく似ていますが、県民の森に棲んでいるのはニホンアカガエル。春一番に産卵します。鳴き声がちょっと変わっていて、春の探鳥会ではいつも鳥と間違えて大混乱になります。

おや?東屋にアシナガバチ
せっせと巣作り中。きれいな色のハチがきっちり六角形の巣を作っています・・・ムモンホソアシナガバチかなあ?・・・と眺めてばかりもいられません。事務所に報告して撤去してもらわなくては。もう少し、人通りの少ない所に巣を作ればいいのに。ハチも、貴重な生態系の一員です。

ベニシタバ
道路と一体化しているガを発見!ちょいとつついてみたら、身の危険を感じて、威嚇行動!(おっと、ごめんね。)でもこれが、きれい。
カトカラと呼ばれるヤガ科の種類。ギリシャ語でKato(下)kalos(美しい)という意味です。後翅が美しいガのことで、日本語では「〇〇シタバ」と呼ばれます。和服の裾からきれいな襦袢がチラ見えする感じ?

キツネノマゴには小さなムシたち
キツネノマゴがたくさん咲いていました。小さな小さな花ですが、よく見ると、小さなムシたちがたくさん!花は実を結び、ムシは生きて卵を産む・・・夏は活動的な季節です。

キツネ繋がりでキツネノカミソリとキツネノボタン
どちらも有毒植物ですが、今の時期、お花は目を引きます。
キツネノボタン:黄色くかわいらしい花。果実は金平糖のようにギザギザ。
キツネノカミソリ:ヒガンバナと同様、早春からスイセンのような葉を出し、花の時期には葉は枯れてしまいます。地面から茎を持ち上げて、鮮やかなオレンジ色の花をつけます。

シジュウカラのお迎え
さあ、帰ってきました。ちょっと歩いただけなのに、ここに記した以外にもたくさんの生き物や花達と会えました。シジュウカラがお帰り♬と顔を見せてくれます。

夏のそぞろ歩き、汗もたくさんかきました。水分補給は忘れずに!!生い茂る緑の中にもすてきな出会い。
暑い、暑いとこもってはかりではなく、ちょっとだけ木陰を歩いてみるのも楽しいですよ。

(写真・解説の提供:宮城県森林インストラクター協会)