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《森の植物の歳時記》 [187] 【ユスラウメ(山桜桃梅)】

ユスラウメの果実が熟す季節です。庭に植えられているのをつまんで食べた記憶がある方もいらっしゃいますか?
径1~1.5㌢くらいと小さいですが、透き通るような紅色の果実は、甘酸っぱくて郷愁を誘われます。果実は傷みが早く、一般に流通する果物にはならなかったようです。近頃では、ジャムにするとか、果実酒にするという話も耳にします。
果実には下痢止めなどの薬効も報告されています。果実酒にすると、消化促進に有効との報告もあります。
中国原産の植物ですが、江戸時代初期には渡来しています。春に咲く花と共に、庭木として楽しまれていたようです。
名前の由来は、牧野富太郎説として、「枝を揺さぶって果実を落として採るから」というのがありますが、「果実は揺すったくらいでは落ちない」という反論もあります。韓国名で「イスラ yisular」がそのまま和名に転じたという説など、諸説あります。
春に咲く花は白~淡紅色で、花柄が短いので、枝に花がまとわりついているように見えて豪華です。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)