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《森の植物の歳時記》 [151]  【ヒイラギナンテン(柊南天)】

ナンテンの仲間ですが、小葉にヒイラギのような刺があることからの名前です。ナンテンは“難を転じる”に通じ、ヒイラギは“鬼をも払う木”と言われ、共に縁起の良い名前を重ねることで、更に縁起が良いとして広まりました。
和風庭園に植えられることの多い木ですが、原産地は中国です。江戸時代、徳川綱吉の時代頃に渡来しました。
枝先に小さい黄色い花を房状に咲かせます。傘を広げたように見える姿は、花材として切花にされることもあります。
花の中にある雄しべは、昆虫などが触れると、その刺激で内側に動きます。昆虫の背中に花粉がつきやすくなり、受粉に貢献します。ヒイラギナンテンの花に出会う機会がありましたら、虫になった気分で、そっと突ついて見てください。雄しべが動くのを目の前で見ることができるかもしれません。
果実は秋に青黒く熟し、鳥が好んで食べます。
種子が鳥によって運ばれるのでしょう、近年、都市近郊の雑木林などで繁殖しているのが確認されていて、問題になっています。

廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)