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ニッセイ緑のオンライン環境講座②~モミジ・カエデ~(講師:林 将之氏/樹木図鑑作家)

《テーマ》学校の樹木トップ20紹介②『モミジ・カエデ』



春がサクラの花なら、秋はモミジの紅葉。



季節の変わり目に彩りを見せる2つの樹木は、日本の四季の象徴としてうってつけなのかもしれません。

「秋の夕日に照る山もみじ」「もみじの葉っぱもまっ赤だな」「もみじのかんざし つげのくし」など、「もみじ」が登場する歌詞を学校でいくつも習っていることを皆さん覚えているでしょう。

とはいえ、学校の樹木名プレートランキングで、2位に「モミジ・カエデ類」が入ったことは、少々意外でした。

校庭の木といえば、サクラ、イチョウ、ツバキあたりが上位で盤石と私は思っていたからです。

しかし、ここには名前の事情があります。

そもそも、モミジとカエデは何が違うのでしょう?





まず、「もみじ」の語源を探ると、秋に草木が色づくことを表す「もみづ」という古語に由来しており、漢字では「紅葉」と書くように、もともと植物が紅葉すること全般を指す言葉として使われてきたことがわかります。

中でも、紅葉が特に美しいイロハモミジ、オオモミジ、ヤマモミジには、植物の名前に「モミジ」がつけられており、今日ではこれら3種類とその園芸品種を「モミジ」と呼んでいることが多いといえるでしょう。





一方の「かえで」は、葉の形がカエルの手に似た木を「蛙手(かえるで)」と表現したことが語源と考えられ、現在それらの木々はムクロジ科カエデ属に分類され、日本国内だけで30種近くあります。

また、先に挙げたモミジ3種類もカエデ属に含まれるので、これらは「モミジ」とも「カエデ」とも呼べることになります。

つまり、もみじ(広義)>カエデ>モミジ(狭義)という関係があるといえそうです(※生物学的な分類に則って生物名を記す時はカタカナ表記が通例となっている)。





樹木名プレートランキングにおける「モミジ・カエデ類」の内訳は、イロハモミジとモミジ(総称)が圧倒的に多く、次いでトウカエデ、カエデ(総称)、ヤマモミジ、イタヤカエデ、ウリハダカエデ、オオモミジ、ノムラモミジ、ハウチワカエデと続きます。

これらのプレートは、私が実物を確認して設置したわけではないので、「モミジ」「カエデ」という総称がどの種を指しているかは不明で、集計時は「モミジ・カエデ類」にまとめるしかなかったのです。



ところで、一番人気のイロハモミジの葉は、いくつに切れ込んでいるでしょう? その数を「いろは・・・」と数えたことが名の由来といわれますが、実際には7つに裂ける葉が多いので、「イロハニホヘトカエデ」でもよかったことになります。

これに対し、オオモミジやその変種ヤマモミジでは、9つに裂ける葉も混じります。

さらにハウチワカエデ類では11に裂ける葉が多く、中でもオオイタヤメイゲツは13に裂ける葉も見られ、これは日本で見られる樹木の葉では最多の切れ込み数を誇ります。



なお、カエデ属の木は、2枚の葉が対になって枝につく(対生)ことが特徴です。

葉の形がよく似たモミジバフウやモミジバスズカケノキ、モミジイチゴなどは、葉が1枚ずつ交互につくことが違いなので、モミジやカエデのそっくりさんを見かけた時は、葉の付き方を確認してみましょう。

(林 将之/樹木図鑑作家)



★当シリーズのこれまでの講座について

(告知動画)
https://www.facebook.com/nissaymidori/videos/255907032214863

(第1回講座)https://www.facebook.com/nissaymidori/posts/3270397186326628



★講師について

当講座の講師の林将之氏は、当財団が2019年度より全国の小・中学校等に提供している「学校の木のしおり」の作成に携わっていただいております。



★「学校の木のしおり」の寄贈(2020年度分の募集受付)について

ニッセイ緑の財団では、現在学校の木のしおりの活動実施校を募集中です!

ご興味のある方は以下URLより募集ビラ・募集要項をご確認の上当財団宛にお申込みください(お申込みはメール・FAXどちらでも可能です)。

(HP記事)

http://www.nissay-midori.jp/topics/details/776

(FB記事)

https://www.facebook.com/nissaymidori/posts/3263263873706626



※『ネット版ニッセイ緑の環境講座』は『ニッセイ緑のオンライン環境講座』に改称しました。



※写真毎の解説は以下のとおりです(順番は左→右です)。



1:イロハモミジの紅葉。鮮やかな赤色〜黄色まであり美しい。これほどの大木は校庭ではあまり見られない。



2:若葉と赤い花をぶら下げた4月下旬のイロハモミジ。別名をイロハカエデ、タカオモミジ、タカオカエデとも。



3:校庭や公園で見られるイロハモミジは、高さ4、5m前後の小さなものが多い。



4:左からイロハモミジ、オオモミジ、ヤマモミジ。イロハモミジは葉が小さく、オオモミジはふちのギザギザ(鋸歯)が細かい。



5:トウカエデは中国原産で、葉は中ほどまで3つに裂ける。花は4〜5月に咲く。



6:イタヤカエデは黄色く紅葉し、葉のふちにギザギザがないことが特徴。北日本でよく植えられる。



7:若い実をつけたウリハダカエデ。カエデ類の実はプロペラ形で、熟すと回転しながら風に舞う。



8:ノムラモミジはオオモミジの園芸品種で、若葉が赤紫色に染まり、紅葉したようによく目立つ。



9:13裂したオオイタヤメイゲツの葉。太平洋側のブナ林などに生え、植えられることはまれ。



10:時に学校にも植えられる北米原産のモミジバフウ。葉がモミジに似るが別の仲間(フウ科)で、葉は互生し、実の形もカエデ類と違う。






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