ニュース
《学びの森の生態図鑑 No.6》
“ニッセイの森”の1つである宮城県利府町にある“森から考えるESD学びの森”を日常的に管理している「宮城県森林インストラクター協会」が、“森から考えるESD学びの森”の他に、同協会が指定管理を行っている施設周辺で見られる動植物等の様子や、身近な植物で子どもから大人まで楽しめる葉っぱ遊び等を「学びの森の生態図鑑」として紹介させていただきます。
「宮城県蔵王野鳥の森自然観察センター ことりはうす」の施設のそばにはたくさんのいきものが住む「野鳥の森」が広がっています。今回はことりはうすの施設とその周辺の野鳥の森で繰り広げられる「アオゲラ」の生態について紹介します。
野鳥の森には「アオゲラ」の他、「アカゲラ」「オオアカゲラ」「コゲラ」と4種類のキツツキの仲間が住んでいます。ちなみに、木をつつく鳥「キツツキ」という名前は皆さん聞いたことがあると思いますが、「キツツキ」という名前の鳥はいません。今回は野鳥の森の「キツツキ」の仲間の中で一番の問題児?の「アオゲラ」の生態です。
ことりはうす建物に開けられた穴
オゲラはしばしば建物に穴をあけて、「ねぐら」を作ることがあります。ことりはうすの建物はとても「ねぐら」を作るのに適しているらしく、建物にはたくさんの穴が開いています。
穴を開ける音は館内に響き渡るほど大きな工事音で、時には金づちで壁をガンガンガンガンたたいているようなそんな音が響きます。
こりはうすの建物から顔を出すアオゲラ
建物に施された断熱材も突き破り、中を整え、作られた「ねぐら」から、朝出勤していきます。
巣穴
建物にたくさん穴を開けますが、ここでは子育ては行いません。春になると巣穴は木に作り、そこで子育てを行います。
穴あけ伝承中?
一羽のオスが壁に穴をあけている最中、そばにある木に2羽その様子を見守るアオゲラがいました。近くにはメスも一羽いて、きっと子育て中の家族なのでしょう。パパのねぐら作りの様子を子供たちに伝承しているのでしょうか・・・・。
ドラミング
春になると、森の野鳥たちは「さえずり」と呼ばれる美しいフレーズの鳴き声で縄張りを主張したり、求愛したりします。キツツキの仲間はさえずりの代わりに「ドラミング」という方法で行います。とても早く嘴で木を叩くことにより音を出すのですが、野鳥の森のアオゲラは人工物(セキレイ用につけた古い巣箱)を叩いて大音量のドラミングを行います。
オスとメスの見分け方
開けられた穴を利用するスズメバチアオゲラのオスとメスの見分け方は頭頂部の赤い部分の違いで見分けます。写真左は後頭部から嘴の付け根近くまで赤いのがわかります。一方、右側は後頭部だけが赤いのがわかります。左側の赤の面積が広いのがオス、右がメスです。
開けられた穴を利用するスズメバチ
たくさんの穴が開けられ、場所によっては簡単にふさぐことができないため、この穴を利用してチャイロスズメバチが巣を作ってしまうこともありました。
キツツキの作った穴を利用するゴジュウカラ
アオゲラなどのキツツキが営巣のために開けた穴は、他の野鳥の子育てに使われることもあります。写真はゴジュウカラが利用している様子です。
おまけの1枚
建物のどこから侵入したのか、アオゲラが建物内にはいり、捕獲されたことがありました。「ねぐら」の穴が外から中まで貫通したわけではなく、どこか館内に入るルートがあったようです。
いろいろ手がかかるアオゲラさんです。
(写真・解説の提供:宮城県森林インストラクター協会)