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《森の植物の歳時記》[289]【タイサンボク(大山木 泰山木 大盞木)】
緑が濃くなってくるころに、常緑の木に大きな花を咲かせます。庭園樹、公園樹、街路樹などとして様々な場所に植えられています。
北アメリカ南部が原産地で、自生地のミシシッピ州とルイジアナ州では州の花に指定されています。
明治時代初めに渡来し、公園などに植えられました。1879年(明治12年)、第18代アメリカ大統領だったグラント将軍夫妻来日の折、ご夫妻によって、上野公園内にローソンヒノキとタイサンボク(変種のようです)が植樹されました。これを機に、日本での知名度が上がったと言われています。
石川植物園の園芸主任を務めた松崎直枝氏によって、大きな木で、葉や花も大きいので「タイサンボク大山木」とつけられたという説があります。また、中国の泰山をイメージして「泰山木」の字も使われます。牧野富太郎博士は大きな花を盞(さかずき)に見立てて「大盞木」を推奨されたと伝えられています。
大きな花は、初めに雌しべが熟した後、雄しべが熟し、同じ花の花粉が雌しべにつかないようになっています。芳香を放ち、花粉を餌に虫を呼びます。結実した果実が裂開して赤い種子が出てきます。
タイサンボク
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)