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《森の植物の歳時記》 [288]【ビヨウヤナギ(未央柳 美容柳)】
公園や街路、庭園などに植えられ、鮮やかな黄色い花を咲かせて目を引きます。
中国の河北省から広東省にかけて分布する半常緑の低木で、江戸時代前期に渡来したようです。1694年に成立した貝原益軒の「花譜(かふ)」に「金糸桃」として記載があることから、このころには日本に入っていたと考えられています。
花は直径が5㌢ほどもありますが、花弁よりも長い雄しべは、30~40本とも言われるほどの数になります。その雄しべは5つの束になっています。
名前に“ヤナギ”とついていますが、ヤナギの仲間ではありません。
中国、唐の時代の詩人、白居易の「長恨歌」に玄宗皇帝と楊貴妃の過ごした地、「未央宮」で詠んだ一節があります。未央宮のヤナギの葉を楊貴妃の眉に喩えて詠っています。
ビヨウヤナギの葉の形や垂れ下がる様子が、未央宮のヤナギに似るとして、未央柳と呼ぶようになったとの説があります。
近年、ビヨウヤナギに似たキンシバイ(金糸梅)も多く植えられています。江戸時代中期、中国から渡来したものです。
やや小ぶりな花はウメに似て丸く、全開しません。雄しべも花より長く突き出ることはありません。
ビヨウヤナギ
キンシバイ
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)