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《森の植物の歳時記》[281]【スイカズラ(吸葛)】別名 キンギンカ(金銀花)ニンドウ(忍冬)
林縁部の木々に絡まっているのが見られますが、近年は民家のフェンスに絡ませてある光景も目にします。
夕方、強い香りで存在をアピールするように白い花を咲かせます。花の蜜を吸って遊んだ経験のある方もいらっしゃるでしょうか。スイカズラ(吸い葛)の名前の由来と言われています。初め白色で咲く花は、後に黄色になります。キンギンカ(金銀花)の所以です。また、常緑で、冬を耐え忍んで葉をつけていることからニンドウ(忍冬)とも呼ばれます。
薬草として広く知られています。解毒、止痛、はれ物、発熱など、様々な効能があるとされており、外用としてお茶代わりに飲用されたり、うがい薬としての効能も報告されています。
花は2個ずつがセットになって咲きます。花後結実する果実も2個がセットになっており、秋に黒く熟します。
徳川家康が長寿の酒として忍冬(にんどう)酒を好んで飲んでいたという話が伝えられています。広辞苑に「スイカズラの茎葉の浸出液と焼酎の混成酒。浜松市の名産」との記載があります。江戸時代には紀州(和歌山県)忍冬酒がブランド品として将軍家や御所に献上されたとの記録も残っています。
スイカズラ
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)