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《森の植物の歳時記》[279]【キリ(桐)】
古くから箪笥や下駄の材料として知られた木ですが、生活様式の変化で、需要が少なくなり、近くで見かける機会も少なくなっています。
苗木を植えて2~3年後、一度、根元で切ります。台切りと言います。切り株から出る勢いの良い芽を幹として育てると、節のない良質な材が得られます。この台切りから「キリ」の名前が生まれたという説があります。
日本産の木材の中で、一番軽く、割れや狂いが少ない木として、家具、楽器、箱、下駄など、様々に利用されてきました。湿気を通さず、燃えにくい性質も価値を高めています。
諸説ありますが、古い時代に中国から渡来したと考えられています。
「梧桐(ごどう)」として万葉集をはじめとする古典に見られるのですが、古い時代には別種のアオギリ(青桐)との混同もあり、古典に見られるキリを判別することは難しいとされています。
冬、薄茶色の丸い花芽は花材に使われたりします。
年、腋芽が多数に分化して枯死するテング巣病に罹患する被害が広がっています。
「桐の里」復活に尽力されている一方で、放置されているキリも多く、飛散する種子から発芽したキリが問題になっています。
キリ
テング巣病
キリ(実)
キリ(実生)
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)