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《森の植物の歳時記》 [278]【ハンショウヅル(半鐘蔓)】
雑木林の林縁部などで見られるつる植物です。
クレマチスなとど呼ばれる園芸植物と同じ仲間ですが、日本在来の植物です。クレマチスの仲間が品種改良によって大振りな花を咲かせるのに対して、ハンショウヅルの花は小さいので、気をつけていないと見落とししてしまうこともあります。
下向きにぶら下がるように咲く花の姿を、火の見櫓(やぐら)などにぶら下げられている半鐘(はんしょう)に見立ててつけられた名前ですが、半鐘を見る機会がほとんどない現代では、イメージが伝わりにくいかもしれません。
花びらのない花で、花弁のように見える紅紫色の部分は萼(がく)です。
花が終わると、雌しべの花柱(柄の部分)が伸びます。そこに毛が密生して羽毛状になり、種子の飛散に貢献します。
つる性であることから刈り払われたり、森林の荒廃や開発などによって生育環境が少なくなっていることなどから、目にする機会は少なくなっています。
ハンショウヅルの仲間で、在来種のシロバナハンショウヅル(白花半鐘蔓)も、たまに見かけます。お椀形の白い花を咲かせますので、その姿は半鐘には見えないかもしれません。
ハンショウヅル
シロバナハンショウヅル
クレマチス
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)