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《森の植物の歳時記》 [275]【ヒレアザミ(鰭薊)】
道端や河川の土手など、日当たりの良い場所で生育しているのを見かけます。
古い時代に大陸から帰化したものであろうとの推測がされています。
江戸時代の文献に「ヤハズアザミ」の名で図説されています。
分岐しながら伸びる茎には縦に2条のひれ(翼)があり、そのひれには鋸歯があって、鋸歯の先端は鋭い刺になっています。
不規則に裂ける葉も、縁に多くの刺があります。
花でも、反り返る総苞片の先端が刺になっています。
二重三重に刺をまとって身を守ろうとする姿は、それほど強固な防御を必要とする草食獣の存在する場所が原産地かと推察されます。そのような草食獣のいない日本では考えられない姿であることから、渡来したものであると推察される根拠の一つにもなっています。
白色の冠毛があり、広い範囲に飛散して分布を広げます。
一年草、越年草、二年草、多年草と、様々な育ち方が確認されているようです。周年に渡って発芽し、冬を越して春から夏にかけて開花します。
ヒレアザミ
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)