サイトマップ
文字サイズ
  • 標準
  • 拡大

ニュース

《森の植物の歳時記》 [274]【クマガイソウ(熊谷草)】

ちょっと不思議な形をした花ですが、怖いもの見たさ?で人気を集める日本在来のランの仲間です。



膨らんだ花の姿を、源平合戦で活躍した熊谷直実(くまがいなおざね)がつけていた母衣(ほろ:後方から飛んでくる矢を除ける道具)に見立てた名前といわれています。

大きく膨らんだ部分は、いかにもご馳走がありそうに見えるようで、中央に開いた穴に、マルハナバチの仲間などが誘われます。誘い込まれて入ってみると、中は空洞で、蜜も何もありません。内側には逆向きに毛が生えていて、逆戻りはできないようになっています。

虫は逃げ道を探して奥の方に進み、上の方に見える出口に向かいます。狭い出口をくぐる時、背中に花粉をつけていきます。次の花に入るとき、受粉に貢献することになりますが、受粉の機会は少ないようで、結実している株は稀です。

種子は0.2×2㍉と微細なもので、種子繫殖はほとんどなく、大部分は地下茎で増えていきます。適地であれば、群生していることもあります。

生育場所の激減や盗掘などにより、生育数が減少しております。環境省のレッドリストの絶滅危惧II類(VU)の指定を受けております。地域によっても稀少種に指定されております。



クマガイソウ  

















廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)

 


個人情報保護方針サイトのご利用にあたってサイトマップ
公益財団法人 ニッセイ緑の財団
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-21-17
Tel 03-3501-9203 Fax 03-3501-5713