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《森の植物の歳時記》 [272]【ハラン(葉蘭)】
幕ノ内弁当などに緑色の仕切りのようなものが入れてあるのにお気づきでしょうか。ハランとかバランとか呼ばれ、今は、ほとんどがポリエチレン製のものですが、本来はハランという植物の葉を切ったものでした。常緑の大きな葉は、抗菌効果も確認されており、松や海老など、縁起の良い形に切って料理の色を引き立たせていました。また、その技が注目されていました。
ポリエチレン製のバランしか知らない世代が多くなってきた現在でも、いろいろな所で元気に育っているハランを見かけます。
「花が咲くのですか?」「株元に虫の卵みたいなのがあります」などのご質問を頂戴します。株元をかき分けて見て下さい。地面にへばりつくように薄紫色の花が見られるかもしれません。腐敗臭と表現される臭いがあります。この臭いにハエなどが集まって受粉に貢献すると言われています。
今の季節ですと、蕾、花、果実が一緒に見られることもあります。緑色で球形の果実がダンゴムシなどにかじられると、黄色い大振りな種子が出てきます。虫の卵?と思われたのは種子の事だったのでしょう。
多くの場合、栄養繫殖をするのですが、種子繁殖もします。
※これまでの「森の植物の歳時記」シリーズはこちらでご覧いただけます。
https://www.nissay-midori.jp/news/glist/
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)