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《森の植物の歳時記》[270]【ヤブレガサ(破れ傘)】
早春の雑木林で、やや乾いたようなところに群れるように出ているのを見かけます。
見た目そのまま、破れた傘のような姿が名前の由来とされています。
中国では「兎児傘」、子ウサギがかざす傘の意ですとか。可愛いイメージですね。
綿毛をかぶり、折りたたまれた傘のような姿、他の草が芽を出す前に出現するこの姿は、マニアックな魅力なのか、人気を集めます。
この時期のヤブレガサは山菜としても注目されます。柔らかい新芽は天ぷらにしたり、茹でて、おひたしや胡麻和えなどに調理されますが、乱獲は慎みましょう。
成長するとともに毛はなくなり、鮮やかな緑の葉を展開します。この頃になると、普通の葉っぱに見えるのでしょうか、注目する人は少なくなるようです。
初夏に花茎を伸ばして、夏には白い目立たない花を咲かせます。雑木林は濃い緑に覆われる季節で、林内は薄暗く、花に注目する人は少なくなります。
夏が近づくと、茎の一部が大きく膨らんでいる株を見ることがあります。ミバエの仲間(昆虫)が産卵したことによって形成された虫こぶで、ヤブレガサクキフクレズイフシ(破れ傘茎膨れ髄五倍子)と呼ばれます。
ヤブレガサ
ヤブレガサクキフクレズイフシ
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)