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《森の植物の歳時記》[269]【ヒトリシズカ(一人静)】
早春の雑木林の明るい林床で、光沢のある濃緑色の葉をかき分けるように白い花穂を伸ばします。
ヒトリシズカの花穂は、一般には1本(たまに2本のものもあります)です。
少し季節が遅くなって咲くフタリシズカ(二人静)は花穂が2本のです。
源頼朝に追われて彷徨った義経と静御前の伝説に擬えて、フタリシズカの名がついたと言われています。このフタリシズカに似て、花穂が1本しかないため、ヒトリシズカ(一人静)の名がつけられたという説があります。フタリシズカの方が先だったということのようです。
静御前のイメージからでしょうか、マユハキソウ(眉掃草)とか、 ヨシノシズカ(吉野静)などの名前で呼ばれることもあります。
きみが名か一人静といひにけり (室生犀星)
溜まった枯葉を突き抜くように現れて、白い花穂を出す姿は、ハッとするような存在感があります。
花弁も萼もない花で、白い花弁のように見えているのは雄しべです。
ヒトリシズカ
フタリシズカ
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)