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《森の植物の歳時記》[268]【ジンチョウゲ(沈丁花)】
春の訪れを告げる香りなどと表現されて、甘い香りを待っておられる方の多いのではないでしょうか。クチナシ、キンモクセイと共に「三大芳香花」と言われます。
中国南部から台湾が自生地とされており、日本には室町時代以前に薬用植物として渡来したとされています。民間療法として利用されていた報告もありますが、有毒植物ですので、使用は控えて下さい。
現在では、庭園樹、公園樹として日本各地に植えられています。
名前は、諸説ありますが、香木の沈香(じんこう)が転訛したとか、沈香にスパイスの丁字(ちょうじ:クローブ)の香りを加えたほどの香りがする意とか言われています。
花弁のように見えるのは萼(がく)で、花の内側は白色、外側は紅紫色が多いのですが、外側も白色の花もあります。
本来、雌雄異株ですが、日本での栽培は雄株がほとんどで、結実することは稀です。
太い根は傷みやすいので移植が難しいといわれます。挿し木では良く発根します。樹齢は10年程度ですので、早めの挿し木をお勧めします。
園芸店で、在来種のナニワズやオニシバリが「黄色いジンチョウゲ」という名で売られているのを見かけます。
ジンチョウゲ
ナニワズ
オニシバリ
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)