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《森の植物の歳時記》 [259]【ヒスイカズラ(翡翠葛)】英名 ジェイドバインjade vine
ルソン島、ミンドロ島など、フィリピン諸島の一部の熱帯雨林地域にしか自生しない、とても貴重なマメの仲間です。
40㌢~1㍍近くまで伸びる花房に1個7㌢余りの大振りな豆花を咲かせます。その色が翡翠の色に似ていることから、英名でジェイドバインjade vineと呼ばれ、そのまま和訳されたものと思われます。
日本では1964年頃に導入されました。近年では温室のある植物園で栽培されているところが多くなって、話題になります。
高温の環境を好む大型のつる植物ですので、一般家庭での栽培には不向きです。
ヒスイカズラは多くの蜜を含んだ花なのですが、受粉にはヒインコ(緋鸚哥)やオオコウモリが関わっているとされています。そのため、温室で育てられているヒスイカズラの結実は困難で、稀に報告があるのみです。
植物園などで、特殊な方法で人工授粉をしておられるところもあり、結実が話題になることもあります。赤ちゃんの頭ほどの豆果になりますとか。
豆果のなかの種子(豆)は寿命が短く、乾燥に弱く、虫などによる食害の報告もあります。
種子による繁殖の道は多難なようで、多くは挿し木で増やされているようです。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
ヒスイカズラ