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《森の植物の歳時記》[227]【タコノアシ(蛸の足)】

河原の湿地帯や休耕田などで見られる植物です。花が並んでつく姿が蛸の吸盤のイメージに繋がるということでつけられた名前です。穂先が少し丸まっているようにも見えます。

夏に咲く白い小さい花は目立たなくて、注目を集めることはないのですが、草紅葉になると、茹でた蛸の風情になって、足を止めてくださる方が多くなります。

開発が進んで、タコノアシの生育する環境が失われつつある現在、地域によっては稀少種として扱われているところもあります。河川環境の指標植物と言われたりします。

多年草で、種子繁殖に加えて、ランナーを出して、広い範囲に生育エリアを拡大しますので、決して弱い植物ではありません。水分の多い場所を好みますので、生育場所を確保できず、数を減らしているということでしょう。

0.1×0.3㍉と、1㍉にも満たない微細な種子なのですが、種子の寿命は比較的長いようで、大量に放出される種子は、土の中で長い間、出番を待つように休眠しているようです。環境が変わって、生育可能な状態が訪れると、芽を出すこともあります。

散歩の途中、休耕田がありましたら、紅葉してゆで蛸のようになっているタコノアシを探してみて下さい。

廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)



タコノアシ
















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