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《森の植物の歳時記》 [222]【エビヅル(葡萄蔓)】
野原や雑木林の林縁などに絡んで育つブドウの仲間です。ヤマブドウに似ていますが、小ぶりで、比較的標高の低い地域で多く見られます。
諸説あるようですが、日本へのブドウの伝来は奈良時代と言われています。
それ以前の古い時代、在来のブドウの仲間を総称してエビカズラと呼び、果実から採取される赤紫の色がえび色でした。えび色の実をつけるつるで、エビヅルと呼ばれたようです。
葉裏に茶色の毛が密生していることが目印になります。葉に対生するように巻きひげがあり、他のものに絡みながら育ちます。
雌雄異株です。花は円錐形に咲きます。受粉した雌花は小さいブドウのような実をつけます。
ちょっと酸味がありますが、美味しく食べられます。ただ、小さい果実のなかに大きい種子がありますので、一般にはお味見程度のことになります。
たくさん収穫できましたら、果実酒やジャムにすると美味しくいただくことができます。
葉はきれいな赤色に色づき、注目に値します。
似ているブドウの仲間にノブドウがあります。葉裏に毛がありません。実はサファイア色と表現される青い色になることが多くて人気なのですが、虫こぶですから食べられません。ご注意下さい。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
エビヅル
ノブドウ