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《森の植物の歳時記》[221]【サラシナショウマ(晒菜升麻)】
秋の山道で長い穂のような姿の白い花に出会うことがあります。サラシナショウマです。やや湿潤で、肥沃な場所を好んで生育します。
春の若芽を茹でて、水に晒して食べることからサラシナ晒菜。根は中国名でショウマ升麻と呼ばれる生薬です。
小さい白い花が穂状に咲く姿は、巨大な“ビン洗い”“ネコのしっぽ”“キツネのしっぽ”など、いろいろなイメージで表現されます。白い花穂が風にそよぐ姿は、独特の風情で、優雅さが感じられます。
茎は1㍍以上の草丈になり、花穂は30㌢近くになることもあり、野外では目立ちます。150個とも言われる小さな花が集合した花穂には多くのチョウが集まります。
結実すると、袋果(たいか)と呼ばれる小さな袋状の果実が並んで付きます。袋果の中には1~3㍉ほどの種子が3個入っています。この種子には薄いヒレのような翼が多数、重なるようについていて、風に乗って運ばれます。
ショウマという名前のつく植物はサラシナショウマの他にも、イヌショウマ、レンゲショウマ、キレンゲショウマなど、いろいろあります。分類的にも別の種のものもあります。安易に口に入れるなどは慎んで下さい。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
サラシナショウマ
イヌショウマ
レンゲショウマ
キレンゲショウマ