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《森の植物の歳時記》[220]【トリカブト(鳥兜)】
秋の山道で出会うと歓声のあがる花の一つがトリカブトの仲間です。日本全国で、ヤマトリカブト、オクトリカブトなど多数のトリカブトの仲間が自生しています。
関東地方では、大部分がツクバトリカブト(筑波鳥兜)ですが、各々の地方で、特有のトリカブトが確認されています。園芸店で売られているハナトリカブトは、江戸時代に中国から渡来したものがルーツで、自生のものではありません。
花の姿が舞楽で使われる烏帽子(えぼし)に似ていることからつけられた名と言われています。この烏帽子のような形は、マルハナバチの仲間がすっぽり収まる大きさになっています。鮮やかな紫色も、マルハナバチの仲間に見つけられやすい色で、飛来して受粉に貢献しています。
トリカブトが有毒植物であるということは広く知られています。
弥生時代には、既に、狩りのためにトリカブトの毒が使われていたという報告もあります。
トリカブトの根は「附子(ぶす・ぶし)」と呼ばれて漢方薬として知られていますが、猛毒ですから、一般の方は決して口にはしないようにして、花を楽しみましょう。
春にニリンソウのなどの山菜と間違えて食べられて、中毒事故の報道もありますので、注意が必要です。(葉の形などは種類・環境によって異なりますので、くれぐれもご注意ください)}
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
トリカブト
ニリンソウ