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《森の植物の歳時記》 [217]【オミナエシ(女郎花)】
万葉集 巻8に収められた山上憶良の歌2首で知られる秋の七草があります。
秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花
萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花
その七草の中で、日当たりの良い秋の草原を彩るのがオミナエシです。一つずつの花は小さいのですが、集まって咲きますので、存在感があります。
オミナエシの名前の由来は諸説ありますが、古代の人が、美女を圧倒するほど優雅で美しい花と称賛したという説話があります。
一説に、粟の入った黄色い飯を女飯(おみなめし)と呼んで、女性が食べていたことから、粟飯にオミナエシの黄色い花の姿を重ねたと言われます。オミナメシからオミナエシとなったという説です。
男性が食べていた白い糯米で炊いた飯、男飯(おとこめし)に見立てたオトコエシ(男郎花)という花もあります。オミナエシに比べて、草丈が高く、全草毛に覆われており、力強い男性的な花とされます。
草原のような場所が少なくなって、オミナエシが自生している姿を目にする機会は激減していますが、栽培されたものが花材として売られています。日当たりの良いお庭に植えておられるのを見かけることもあります。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
オミナエシ
オトコエシ