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《森の植物の歳時記》[215]【ヤブツルアズキ(藪蔓小豆)】
道端の草に絡むように黄色い花を咲かせます。藪に絡むつる性のアズキを意味しています。
マメの仲間ですが、花がちょっと歪な形をしています。内側の花弁が捩れるように伸びて、筒状になっています。訪れたハチなどが頭を突っ込むようにして中に入ろうとすると、筒の中から雄しべが現れて、ハチの腹に花粉が付きます。花粉は次の花に運ばれて、受粉に貢献します。
豆の痕跡は縄文時代前期の遺跡から出土していて、古い時代から栽培されていたと考えられています。
諸説あるようですが、ヤブツルアズキを栽培化したものがアズキだと言われています。
縄文時代中期には、豆の大型化が確認されており、それ以前から、意図的な耕作、栽培がされていたと推察されています。
ヤブツルアズキの豆が2.5×5㎜なのに対して、品種によって差はありますが、アズキの豆は6.5×6.5㎜くらいです。蔓をなくして、豆を大きくして、栽培に適した姿になりました。
ヤブツルアズキで作った餡子は美味しいと聞いたことがあります。豆が小さくて収量が少ないが故の感想かもしれませんが、ちょっと気になる報告です。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
ヤブツルアズキ
アズキ