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《森の植物の歳時記》 [213]【ツルニンジン(蔓人参)】別名 ジイソブ(爺蕎)
初秋の林縁部の木に絡みついて咲いている姿は、秋の訪れを感じさせるようで注目される花です。
ツルニンジンは太い根がチョウセンニンジン(朝鮮人参)に似ていることからの名と言われています。
別名をジイソブと言います。釣鐘を思わせる花の中に斑点があります。木曾地方ではそばかすのことを“ソブ”と呼び、この斑点をそばかすに見立てて、「爺さんのそばかす」の意ですとか。婆さんのそばかす、バアソブという植物もあります。ジイソブを小さくしたような花を咲かせますが、自生地も異なり、こちらはなかなかお目にかかることがありません。
中国ではジイソブの根を解毒、去痰などのために使われるようですが、日本での利用は少ないようです。
山菜としてお浸しや煮物にして食べられる地方もありますが、地域によっては生育数が激減している植物でもありますので、ながめて楽しみたいですね。
キキョウの仲間ですので、根、茎、葉共に、傷つけると白い乳液が出ます。
五角形をした果実が熟して裂開しますと、片側に翼のある種子が風に乗って飛散します。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
ツルニンジン