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《森の植物の歳時記》 [211]【ヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)】英名 ink berry(インクベリー)
北アメリカ原産の植物で、明治の初めころに渡来して広まりました。
同じ仲間で、少し小ぶりですが、日本在来のヤマゴボウという植物があります。それに対して、外国から来たヤマゴボウの意です。
もう一つ、混乱を招いているのが、「山牛蒡(やまごぼう)」という名前で、味噌漬けなどが売られています。こちらはモリアザミなどキク科の植物の根で、ヨウシュヤマゴボウとは何の関わりもない植物です。
ヨウシュヤマゴボウは初夏に白い花を咲かせて結実します。ブドウを思わせるような、濃い赤紫色に熟す果実は、かつては色水遊びで子供たちに人気でした。英名でink berryと呼ばれる所以です。綿棒に色水を含ませて絵を描いたりして遊びますが、毒性が強く、近年は避けられているようです。
全草有毒ですが、有毒成分は特に根に多く含まれますので、注意が必要です。
誤食すると、嘔吐、下痢、意識障害などを引き起こし、最悪の場合、呼吸障害や心臓麻痺を引き起こし、死にいたることもありますので注意が必要です。
鳥が食べて種子散布することが知られています。舗装道路の割れ目からでも発芽しますので、街中でも普通に見られます。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
ヨウシュヤマゴボウ