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《森の植物の歳時記》 [206]【ナツヅタ(夏蔦)】 別名 ツタ(蔦)

V削りひ(氷)にあまづら(甘葛)入れて新しきかなまり(金碗)に入れたる 

清少納言の『枕草子』47段「あてなるもの」の一節です。猛暑の続く今年の夏の所為でしょうか、例年にも増して、話題にされることが多いようです。

平安時代のかき氷、「削りひ」にかけた「あまづら」は、諸説ありますが、ナツヅタから採った樹液だという説が有力です。

ナツヅタは、甲子園球場のツタと言えばイメージしやすいでしょうか。夏に葉を茂らせることからの名前で、冬には落葉して蔓だけが壁に張り付いています。

あまづらはこの蔓から採った樹液を煮詰めて作られます。近年の実験で、23㎏の蔓から採った樹液を煮詰めて、最終的に糖度70%(メイプルシロップは66%です)の「あまづら」100ccができあがったという報告があります。大変な労力によって得られる貴重な樹液です。

貴重な甘味料、あまづらでしたが、砂糖が流通するようになった室町時代以降、貴族の凋落とも重なり、江戸時代には完全に幻となってしまいました。

ナツヅタは節から出る吸盤をもった付着根で壁に張り付きます。夏に咲く花は緑色で目立たないのですが、ブドウを思わせるような果実ができます。鳥が食べて種子散布をします。

廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)

ナツヅタ

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