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《森の植物の歳時記》 [202] 【スイレン(睡蓮)】
夏の水辺を彩る植物を代表するのがハスとスイレンでしょうか。
ハスは水面より上に茎葉や花茎を水面より上に伸ばし、茎葉の上に出て花を咲かせます。
一方、スイレンの葉や花は水面に浮かびます。ハスに比べて、花茎、葉茎ともに柔らかく、水面から直上するように長くはなりません。
根茎はハス、スイレン共に、長く横に伸びますが、ハスは先端部が秋に肥大して、いわゆる蓮根になります。一方、スイレンの根茎は肥大はしません。
スイレンの仲間は、古代エジプトの時代から注目を集めていた花です。その美しさは、観賞用に栽培され、多くの栽培品種が作り出されてきました。クロード・モネがスイレンの絵を数多く描いたことは広く知られています。
日本ではスイレンの仲間の一つとして白い花を咲かせるヒツジグサ(未草)が自生しています。未の刻(午後2時)に開花することからつけられた名です。ヒツジグサの漢名が睡蓮なのですが、日本では園芸種も含めて、スイレンと呼んでいます。
外国のスイレンは明治時代に持ち込まれました。多くは温帯スイレンの仲間で、多くの園芸種が作り出されました。
現在では、その旺盛な繁殖力で本来の生態系を壊すことも危惧され、外来スイレンの除去が呼びかけられている地域もあります。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
スイレン
ヒツジグサ