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《森の植物の歳時記》 [200] 【バショウ(芭蕉)】
中国原産の植物で、1000年以上前に渡来したバナナに近い仲間です。
英名をJapanese fiber bananaと言います。江戸時代、シーボルトによってヨーロッパに広められたため、中国原産にも関わらず、Japaneseとついてしまいました。
一見、木のように見えますが、何枚もの葉の葉柄の基部が重なり合って茎のように見えているもので、大型の多年草です。冬になると地上部は枯れて、翌春、再び芽吹きます。
比較的耐寒性があり、江戸時代に観賞用として植えられました。古い民家の庭などで目にするのはその故です。
大きな葉が高さ2㍍近くにも伸びて、場所を占有するため、近年の住宅事情にはそぐわないようです。
大きな葉は食べ物を包んで焼くなど、料理に使われたりしていました。
夏から秋にかけて花茎を伸ばします。黄緑色の苞葉に包まれた花は、基部近くに雌花、先端部に雄花が咲きます。
小さなバナナのような果実がなりますが、中に大きな種子があり、渋みも強く、食用にはなりません。
江戸時代の俳人、松尾芭蕉の名前は、江戸深川の庵の庭にバショウが植えられていたことに由来するという話は広く知られているところです。
バショウと聞くと、芭蕉布をイメージされる方も多いでしょうか。バショウと同じ仲間ですが、イトバショウ(糸芭蕉)という植物から採った糸で織られます。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
バショウ(芭蕉)
バナナ