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《森の植物の歳時記》 [194] 【ヤブガラシ(藪枯らし)】別名 ビンボウカズラ(貧乏葛)
盛な繁殖力で、覆いかぶさった植物を枯らしてしまうことからの名前と言われています。ビンボウカズラというのも、同様の発想からの名前です。
朝早く咲く花には緑色の花弁と雄しべが見られます。数時間すると、花弁も雄しべも脱落して、雌しべが伸び始めます。雌しべの台になっている花盤(かばん)と呼ばれる部分の色が濃くなり、蜜が染み出してきます。
この蜜を求めて、アリ、ハチ、ハエの仲間から、チョウやコガネムシの仲間など、様々な昆虫が集まってきます。スズメバチの仲間も飛来しますので、観察する時には要注意です。
根を張って生育しますので、繁茂しているのが全て同株ということもあります。自家不和合成(同じ株の花粉を嫌う性質)があることが報告されており、結実は稀です。更に、結実した果実もタマバエの仲間が産卵して、虫こぶになっていることが多いようです。
絡むときは巻きひげで絡みます。巻きひげは絡む相手を見つけると、絡んだ先端と茎の方とから逆向きの螺旋になります。絶対に抜けないようにという仕組みです。
葉を食い尽くすイモムシはセスジスズメというガ(蛾)の幼虫です。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)