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《森の植物の歳時記》 [193] 【ナワシロイチゴ(苗代苺)】
稲の苗を育てる苗代を作るころに熟すイチゴという意味を含んだ名前です。日当たりの良い道端などを好みますが、少し日陰の場所でも生育しています。
普通に見られる植物なのですが、道端故に刈り払われることも多く、結実することは少ないかもしれません。
地域によってはワセイチゴ(早生苺)とかサオトメイチゴ(早乙女苺)など、様々な名前で呼ばれます。稲作に関わる名前が多いようです。
野遊びの時、果実をちょっとつまんで食べた経験のある方もいらっしゃるでしょうか。野外で生食も良いのですが、甘みが少ないので、ジャムなどにした方が美味しくいただけるとおっしゃる方もあります。
5月頃に咲く花は、ピンクの花弁を持つ花なのですが、花弁がほぼ直立したままで、その中に雄しべと雌しべがちらっと見えます。
普段、イチゴとして食べているオランダイチゴや、山すそに実るモミジイチゴなどのように、花弁が全開することはありません。
「これで咲いているのですか?」というご質問をいただくことも度々です。
丸いつぶつぶが一つずつが果実で、中に種子があります。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
ナワシロイチゴ
モミジイチゴの花