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《森の植物の歳時記》 [162] 【アンズ(杏子 杏)】
中国華北地方の山岳地帯が原産地と言われています。中国では古くから栽培されていた果実で、モモ、スモモ、クリ、ナツメと共に五果の一つとされて、珍重されていました。
日本への渡来は明らかではないようですが、平安時代には「唐桃(からもも)」と呼ばれ、種子が薬用として利用されていたようです。
品種も多く作り出され、江戸時代になって「杏(あんず)」と呼ばれるようになっています。日本で栽培される品種は酸味が強いものが多く、ウメとの交雑種が多いと推察されています。シロップ漬けやジャムにされることが多いようです。
花は桃紫、赤紫が多いのですが、白色など様々で、庭園樹として植えられることもあります。
長野県千曲市(旧更埴市)のアンズ畑の光景は広く知られています。夏に雨が少なく、冷涼な気候を好む植物と言われています。近年の温暖化傾向で、栽培が難しくなってきているとも言われ、農家の皆さんを悩ませているという話も耳にします。
ウメやモモと花が似ていると言われますが、萼(がく)の先端が丸く、反り返るのが特徴ですので、確認してみて下さい。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)