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《森の植物の歳時記》 [155] 【トサミズキ(土佐水木)】
昔、土佐と呼ばれた現在の高知県内の山地に自生する日本特産の植物です。枝を切ると水気の多い樹液が流れ出すからとか、葉がミズキの葉に似ているからとか、名前の由来は諸説あります。
名前に“ミズキ”とついていますが、分類的な関わりはなく、マンサクの仲間です。
比較的、土地を選ばないので育てやすく、庭や公園などに多く植えられている木ですが、造園木としての利用は江戸時代後期ころからのようです。庭木としてだけでなく、盆栽や生け花の花材としても利用されました。この頃、シーボルトによって海外にも紹介されています。
早春、葉が出る前に5~7個の小さい薄黄色の花が連なるように下垂して咲きます。雄しべの葯(花粉袋)は、開花直後は暗紫色で目立ちます。
やや太めの枝は、稲妻型と表現されることもあるように、ジグザグに伸びます。地際からのひこばえも多く、株立ちになることもあります。
花が盛りを過ぎる頃、ちょっと大きめの葉を出します。葉は左右非対称で、裏面には軟毛があって白く見えます。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)