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《森の植物の歳時記》 [154] 【モモ ハナモモ(桃 花桃)】
“あかりをつけましょぼんぼりに お花をあげましょ桃の花・・・”
元々、ひな祭りは旧暦の3月3日に行われていたもので、現在の新暦ですと4月上旬に当たります。この時期に咲く桃の花を飾るお祭りでした。新暦で行われる現在のひな祭りに飾られる桃の花は、収穫した枝を暗所で高温貯蔵し、出荷調整をしています。
ひな祭りに飾られる桃の花は、ハナモモともいわれます。花を愛でるために改良されたもので、一重咲き、八重咲きがあり、色も白、ピンクなど様々です。たまに結実する果実は堅くて食用にはなりません。
古来より、果実のみでなく花や枝葉も含めて、モモには鬼や邪気を祓う呪力があるとされ、祭祀のお供えや死者の弔いに用いられたと考えられています。ひな祭りにモモの花を飾り、桃の節句と言われる所以です。
モモは中国から渡来した植物と言われていますが、自生があったという説もあります。縄文時代後期、弥生時代の遺跡などからモモの種が多数出土しています。
古い時代のモモの果実はあまり甘くなく、主に薬用として使われていたという説もあります。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)