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《森の植物の歳時記》 [145] 【ムクロジ(無患子)】
お正月の伝統的な遊びの一つに羽根突きがあります。追羽根の羽がついている黒い玉がムクロジという木の種子というのをご存知でしょうか。
羽根突きは、追羽根の玉をトンボの目に見立てて、子供が蚊や害虫から伝染病にかからないように、悪い虫を退治して守ってもらうことを祈念する遊びと言われています。“無患子(子患うこと無し)”の所以です。
黒い種子を包む飴色の果皮はサポニンを多く含んでおり、水に漬けると泡が出ます。石鹸として使われていました。シャボン玉で遊んだことはないですか?
ムクロジの泡は燃えにくく、つぶれにくいため、いく重にも重なると空気を通しません。この性質を利用して、昭和50年代くらいまで、泡の出る消火器に使われていました。
黒い種子は数珠にされます。お釈迦様は手ずからムクロジ108個を繋いだ数珠をお作りになったと伝えられています。
人家の近くに植えられていたムジロジの多くは伐採されましたが、神社やお寺の境内に植えられているのを見かけます。
夏に咲く花は小さく、雌雄別です。機会がありましたらご覧になってみて下さい。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
ムクロジの果実
ムクロジの果実の断面
ムクロジで作られた数珠