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《森の植物の歳時記》 [141]  【ユズリハ(楪 譲葉)】

お正月のお飾りに使われることで知られています。春先に新葉が出ると、入れ替わるように前年の古い葉が落ちるので、新旧の世代が交代して絶えることなく続く縁起のよい植物を意味しているとされています。たまに一昨年の葉が残ることもあります。3年を経た葉は黄色くなり、親の見守る中で祖父と子が円満に相譲るとも表現されます。
他にも、葉の中央の太い主脈を弓に見立てて、弓弦葉という説もあります。
葉柄が赤いことをタンチョウヅルの頭頂部の赤いことに結びつけて、ユツルハ、ツルハなどと呼ぶ地方もあります。
お正月に里に降臨される年神様はユズリハの笠を着けて、ウラジロ(シダ植物)の蓑を着て来られると伝えられています。葉の裏側が白いウラジロは虚心坦懐、夫婦和合し、ともに長寿を全うして発展することを期待して縁起を担いでいるとされています。
ユズリハとウラジロの二つを飾り、年の始めに一家の繁盛、多幸を祈念したものです。
雌雄異株です。雌株は結実します。
葉柄が緑色のアオジクユズリハや海岸近くに自生して小ぶりなヒメユズリハなどもあります。

廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)











ユズリハの実


ユズリハの雌花


ユズリハの雄


アオジクユズリハ


ヒメユズリハ