お正月、玄関を飾る注連飾りや、床の間の鏡餅などに添えられるのがダイダイです。
インド原産の柑橘類で、日本へは、古い時代に中国を経由して渡来したと言われています。
花は初夏に咲きます。果実は落果しにくい性質があり、採らないでそのまま木に残しておくと、夏に再び緑色に戻る性質があり、「回青(かいせい)」と言います。
新旧の果実が1本の木に同時に見られることもあり、代を重ねて目出度いとされます。
古事記や日本書紀に田道間守(たじまもり)の話が載っています。垂仁天皇(すいにんてんのう BC29~AC70)の命を受け、常世国へ不老長寿の妙薬と言われる「非時香果(ときじくのかぐのこのみ)」を探しに行き、持ち帰ったのがダイダイだったという話です。(ダイダイ説に加えて、タチバナという説もあります。タチバナは紀伊半島に自生しますので、歳月をかけて探すか?との疑問もあるようです。)
10年の歳月をかけて帰国した時には、天皇は崩御しておられ、泣き崩れて息絶えたという話が伝わり、奈良、西ノ京にあります垂仁天皇陵の傍らに、田道間守も祀られています。菓子祖として祀られることが多い方です。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
ダイダイの花
タチバナ