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《森の植物の歳時記》 [100]  【ワレモコウ(吾亦紅)】

秋草の草原を彩る花の一つです。名前の由来は諸説あるようです。昔々、神様が紅い色の花を集めておられたことがありました。その時、この花が「吾も亦紅なり」と申し出たとかいう話が伝わっております。
一説には、「われもこうありたい」という思いを込めた名前とも言われています。
吾木香、吾妹紅、我妹紅、我毛紅、我毛香、我吾紅、割木瓜など、多くの漢字表記が見られます。
源氏物語には「見栄えせぬ香りあるもの」と表現され、徒然草には「庭に植えたい秋草」と表現されています。
近年では、ドライフラワーとしてフラワーアレンジメントに使われているのを目にします。小さい花を密集させた花穂です。穂状に咲く花の多くは下から上に向かって咲き上がりますが、この花は上から下に咲き下がります。まあ、咲いているのか咲いていないのか分からないような花ではありますが。
ワレモコウだけに限りませんが、夜、根から吸い上げた水が葉の縁にある水孔という組織から排水されることがあります。葉の縁に溜まった水滴は、冷え込みの厳しい早朝がきれいに輝きます。

廣畠眞知子氏(千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)