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《森の植物の歳時記》 [82] 【カジノキ(梶の木)】

カジノキは東南アジア原産で、日本への伝来は古代、大陸からと考えられています。聖徳太子の時代には樹皮から紙を作ることが始まっていました。カジノキの和紙は、現在では佐賀県の名尾和紙などでわずかに伝承されています。
あまり馴染みのない植物かもしれませんが、ちょっと毛深いクワ、コウゾをイメージしてみて下さい。元々は紙の材料として栽培されていたものと思われますが、現在では野生化しているものが多く、新宿御苑や上野公園などの周辺では逸出したと思われるカジノキが道端に生えている光景が見られます。
平安時代、七夕の日、川に舟を浮かべ、カジノキの葉に想いを書き川に浮かべると流れて恋しい人に想いが届くと信じられていました。早朝、サトイモの葉に溜まった露を集めて墨をすり、カジノキの葉に想いを書くということが行われていました。
今でも鎌倉鶴岡八幡では七夕が近くなると絵馬のデザインがカジノキの葉になります。その他の神社でも、七夕の行事にカジノキの葉が使われるところが多くあります。
長野諏訪大社の神紋が梶の葉紋であることも知られています。

廣畠眞知子氏(千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)



















梶の葉の絵馬


カジノキの樹皮