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《森の植物の歳時記》㊴ 【ウメ(梅)】

【ウメ(梅)】
元々は中国から渡来した薬用植物でした。諸説あるようですが、おおよそ奈良時代ころと考えられており、平城京の大宮人がこぞって庭に植えたとも伝えられています。奈良時代の花見はウメの花を愛でるものでした。以後、実を育てる品種や、花を愛でる品種と、多くの品種が作出されてきました。
実ウメに咲く花は、受粉して結実する花と、雌しべが退化して雄しべだけの花があります。どちらかというと、後者のタイプの花が多くあります。虫や鳥など、花に寄るお客を集めるには、多くの花で呼ぶのが効果的ですが、全部が結実しては母木の体力がもちません。派手に着飾って呼び込む、ウメの木の生きる知恵とでも言いましょうか。
“梅に鶯”と言われますが、多くの場合、ウメに来ているのはメジロやヒヨドリのようです。近頃は花の後ろ側から盗蜜する不届き者のヒヨドリがいるようで、株元に多くの花が落ちている光景を目にします。

廣畠眞知子氏(千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)