フォーラムメンバー紹介

盛岡市立下橋中学校

1、H27学校の森教育研究推進支援校活動報告はこの頁の最下段にあります。
 
2、学校の概要
下橋中学校は、岩手県の県庁所在地盛岡市の中心部にある創立128年目を迎える県内で最も古い伝統ある中学校で 
す。西に秀峰岩手山を望み、東に南部家の居城であった盛岡城址公園(岩手公園)があり、学校の前を流れる中津川には秋になると鮭が上って来る豊かな自然と史跡に囲まれた環境の中に位置しています。本校は、内閣総理大臣米内光政、国語学者金田一京助、歌人石川啄木などが多くの先人を輩出。現在も多くの卒業生が各界で活躍しています。金田一京助先生が来校した際に、後輩生徒に贈ってくれた「切磋琢磨」と「誠実」の言葉を目標に据えて、現在も全校300名ほどの生徒が励んでいます。
また、平成26年度第15回環境美化優良校等表彰において文部科学大臣賞を受賞。平成27年度には、盛岡市内一周継走、県中学校駅伝大会で女子が初優勝し、全国大会に出場するなど、文武両道での頑張りも特筆されます。
 

 

【環境学習、環境美化活動】
本校では、平成7年度頃から学年単位でリサイクル運動に取り組み、平成8年度からは、環境を見つめ、自分の在り方生き方を考える学習の一環として「森は海の恋人体験学習」を開始、現在に至るまで続けています。平成9年度には文化祭の3学年テーマを「身近な環境」と設定し全校生徒が参加する「ゴミとリサイクル」についてのパネルディスカッションを実施したり、卒業記念制作にリサイクルボックスを作製し各教室に設置したりするなど、徐々に学校全体で環境への取組に目を向け、生徒たちが目的意識と自分たちで行うことへの誇りをもって活動に取り組む流れが出来てきました。その後、新しく始まった総合的な学習の時間の柱にも「環境学習」が据えられました。 
このように、本校の環境教育は「総合的な学習の時間」を中心に据え、生徒会委員会組織にもエコ委員会を新設し、従前から本校の核となっていたJRC委員会、地区生徒会などの生徒会活動とも連動した取り組みを行い、現在に至っています。
また、地域においては、地域の小学校やPTAとともに夏祭りに合わせて学区の清掃美化活動を行ったり、部活動単位でボランティア活動に取り組んだりしながら、自分たちの住む地域に活動の輪を広げ、環境の保護・保全を意欲的に展開しています。
こうして、本校では環境教育での学びを基底におき、さまざまな教育活動と結び付けながら、「環境問題に関心をもち、自ら課題意識を持って取り組める生徒」「環境問題への取り組みを通して豊かな人間性をもつ生徒」を育てることを目指しています。
 
【SHEL学習】
 総合的な学習の時間の呼称として本校の「総合的な学習の時間」は次のような意味付けのもと、「SHEL学習」と呼んでいます。
 
S… Simonohasi 下橋中学校で  H… human     人と
E… ecology     環境を     L… learn       学ぼう
 
<各学年の主な学習活動>
① 第1学年
ア 「SHEL道場」
3年間のSHEL学習の目的を理解させ、これからの学習に意欲を持たせるための1泊2日の宿泊研修です。木や森林の役割を学び環境学習への基本的な知識、自然や生命を感じる心を育てます。
小岩井農場で火山灰の積もる不毛の地であった土地が人間の手によって緑豊かな土地に変わったことを学び、小岩井農場の小川や森林などを体感します。
2日目には、岩手大学の演習林で森林の観察、間伐・下刈などの体験をします。学んだことを班でまとめポスターを作成し、学校に戻り発表会を開催。自分たちの学んだことや考えたことを伝えます。また、個人新聞を作成し、学んだことをまとめます。
イ 「川体験学習」
   岩手県の環境アドバイザーを迎え、川の役割や生物についての学習会を実施します。
その後、学校の前の中津川で、水生生物の観察や採集を行い、身近な環境についての学習を深めます。実際に川に入り、川の流れや自然を体感させます。
 
② 第2学年
ア 「職場訪問・体験学習」
班ごとに盛岡周辺の職場を訪問し、職場体験をします。その際、環境に関わる取り組み等も併せて学びます。
イ 東京への修学旅行で「NGO・NPO訪問」
班ごとに環境保全に取り組むNGO・NPOを訪問し、多面的な視点で環境について学びます。
生徒会が支援するNGO「緑のサヘル」の講演会を実施し、現地の活動報告を聞いて自分たちの活動の成果と今後の活動について考えます。
その他に、中央防波堤埋立処分場の見学を行いゴミ処理の現状を学習するなど、現代の問題について学びます。
ウ 「立志式」
社会の様々な人との繋がりを経験し、磨いた自分の価値観から、元服の年齢に達した自分の決意を「立志のことば」として表現し、全校、保護者、地域の方々が見守る中で発表します。
 
③ 第3学年
ア 「森は海の恋人」体験学習
   気仙沼を中心とした宿泊学習を行います。          
唐桑半島のNPO「森は海の恋人」を訪ね、牡蠣の養殖作業を体験し海の豊かさを学びます。次の日には、豊かな海を保つため、室根山に植樹を行い、先輩がこれまでに植えた苗木の周りの下刈を行います。
3年間取り組んできた森と川と海の繋がり、室根の山と気仙沼の海で生活する人々の繋がりを学びます。
また、「森は海の恋人」の活動の創始者である畠山重篤さんやNPOで活動する方々の生き方、東日本大震災を学びます。
イ 「個人レポート」作成                  
3年間のSHEL学習のまとめとして、一人ひとりがテーマを決め、レポートを作成します。学級で発表会をした中から代表を選び、学年発表会をします。テーマが合致すれば全校で行われるエコシンポジウムで発表することもあります。
 
<全校生徒会としての環境に関わる活動>
① エコ委員会の活動
平成11年度、生徒会専門委員会のエコ委員会が発足しました。エコ委員会は校内でのエコ活動の推進とともに、生徒会で取り組むことが決まったサヘル地帯の緑化を進めるNGO「緑のサヘル」の支援活動を進めます。
②JRC委員会の活動
本校は青少年赤十字に県内ではいち早く加盟(昭和28年)し、生徒たちはJRC精神である「気づき・考え・実行する」を信条として、常に相手のことを考えて行動し、その延長として自然や地球環境のことを考えた取り組みを行っています。
JRC委員会の企画によるVS活動(ボランタリーサービス活動)として、地域の清掃や雪かき等を行っています。 
有志による学校の周辺の清掃活動が日常的に行われ、カラスが散乱させた地域のゴミ集積所のゴミを登校途中の生徒が率先して片付け、お礼の連絡をいただくこともありました。
③地区生徒会の活動
地区生徒会は全校生徒がそれぞれ住む地区を単位に活動する生徒会の組織です。本校の生徒の約6割はマンション・アパート住まいであり、地域との関係の希薄化が心配される中、自分たちが住む地域との結びつきを大切にしたいと考えています。
そのため、「繋ぎ隊」という組織をつくり、町内会長などの地域の役員さんや民生員さんの家を訪問し、学校便りや学校行事のご案内を届けています。また、地域の商店街の催しの手伝いをするなど地域の活動に参加して、自らも地域の一員であることの自覚を深めます。
地区生徒会の企画の中で最も大きな行事は、すべての地区が参加する「地区合同清掃」です。盛岡市では8月1日から4日に「盛岡さんさ踊り」が市内のメインストリートを会場に行われます。
30年以上にわたり毎年、盛岡さんさ踊りの開催中に、すべての地区が合同で「さんさ踊り」で多くの観光客の訪れる学区内の清掃活動を行っています。地域の方々、保護者の方や小学生に協力を呼びかけて、朝6時から500人近くが参加して、自分たちの街をきれいにし、街の伝統あるイベントにも一役買っています。
④ 部活動単位でのVS活動                
部活動でボランティア活動を行うこともあります。毎年行われているのは、盛岡城址公園(岩手公園)の亀ヶ池の清掃です。このような努力もあって、盛岡城址公園では、夏にホタ ルを観察できる場所があります。
 
<PTAと協力した活動>                   
2学期の休日の朝、本校の父母と教師の会(PTA)の皆さんと生徒たちが協力して学校の前を流れる中津川の美化活動を行います。定期的な清掃活動を行うことにより、清流を維持したいと思っています。
 

小岩井農場で「法正林」について学ぶ。(1年SHEL道場)

小岩井農場で「法正林」について学ぶ。写真は百年杉の苗木(1年SHEL道場)

岩手大学演習林で下草刈り作業に取り組む。(1年SHEL道場)

小岩井農場の旧道(アジサイの道)の歴史を学ぶ。(1年SHEL道場)

岩手大学演習林でのネイチャーゲーム。(1年SHEL道場)

 唐桑半島で、海の水と森の関係を学ぶ。(3年 森は海の恋人体験学習)

 地区清掃(8月の「盛岡さんさ踊り」に合わせて、小学生や地域の人にも呼びかけ、朝の清掃活動に取り組んでいる。) 

 

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