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ニッセイ緑のオンライン環境講座①~サクラ~(講師:林 将之氏/樹木図鑑作家)

先日、告知させていただきました通り、本日より樹木図鑑作家の林将之氏による『ニッセイ緑のオンライン環境講座』の連載をスタートします!本日は1回目の投稿となります。



<ニッセイ緑のオンライン環境講座① ~サクラ~ 講師:林 将之氏/樹木図鑑作家>

先日、ニッセイ緑の財団より全国の各学校が作成した樹木名プレートのランキング(単純集計)が発表されました。

本連載ではそのランキングの樹木を、同じ仲間ごとにまとめた総称のランキングを再集計し、上位20種類の樹木について紹介していきたいと思います(林 将之/樹木図鑑作家)。



≪樹木名プレート作成ランキング(総称)≫

1 位:サクラ類

2 位:モミジ・カエデ類

3 位:ツバキ・サザンカ類

4 位:マツ類

5 位:モクセイ類

6 位:イチョウ

7 位:カシ類

8 位:コブシ・モクレン類

9 位:ウメ

10位:ハナミズキ

11位:ツツジ類

12位:ケヤキ

13位:クヌギ・ナラ類

14位:モチノキ・クロガネモチ

15位:クスノキ

16位:ヒノキ・サワラ類

17位:サルスベリ

18位:ヒマラヤスギ

19位:マキ類

20位:シュロ類



●学校の樹木トップ20紹介

『サクラ』



サクラ舞い散る中で入学式・・・。

今年こそコロナの影響でまともな入学式を開けなかった学校も多いと思いますが、そんなサクラの思い出を持つ人も多いでしょう。校庭に必ずと言っていいほど植えてあるサクラ類は、校庭の樹木名プレート設置数ランキング(総称)でも圧倒的な第1位です。日本の国花に指定され、「さくらさくら」の歌が音楽の授業で歌われていることも、その一因かもしれません。



サクラ(桜)とは、バラ科サクラ属の木々の総称で、日本に約10種の野生種と、数百もの園芸品種があります。中でも校庭や公園に最も多く植えられているのが、ソメイヨシノ(染井吉野)という園芸品種で、現在では「サクラ」といえばソメイヨシノを指すことが大半です。サクラ類の樹木名プレートの内訳でも、ソメイヨシノが断トツで多く、次いでサクラ(総称)、シダレザクラ、ヤエザクラ(サトザクラ)、ヤマザクラ、エゾヤマザクラ(オオヤマザクラ)、サクランボ、エドヒガン、オオシマザクラと続きます。



ソメイヨシノは、エドヒガンとオオシマザクラからできた交雑種と考えられ、人気の理由は、葉が出る前に淡い花が密集して咲き、清楚な華やかさがあることでしょう。野生のサクラの代表種であるヤマザクラが、花と葉が同時に出るのと対照的です。欠点を挙げるなら、虫の被害にあいやすいことでしょうか。夏のソメイヨシノの木に、毛虫がたくさんいるのを見たことある人も多いでしょう。木登りはあまりしたくない木と言えます。



そんなサクラ類の葉をよく見てみましょう。柄の部分にゴマ粒ほどのイボがついているのが分かりますか? これは蜜腺と呼ばれ、ここから蜜が出て、それをアリが盛んになめに来ます。そのため、アリはサクラの木を守ろうと、葉を食べる害虫を追い払ってくれると考えられています。



なお、ウメやモモの葉にもこの蜜腺があります。そう、これらもサクラの仲間なのです。ウメは校庭の樹木名プレート設置数でも第9位にランクインしており、思った以上に校庭にも多い木のようです。中国原産でサクラほど大きな木にはなりませんが、国語にもよく登場する代表的な和の庭木なので、庭園のような場所によく植えられるのでしょう。



近年の日本では、年老いたソメイヨシノが増えています。ソメイヨシノはサクラの中では短命で、樹齢60年を過ぎた頃から寿命を迎えるものが多く、戦後に大量に植えられたソメイヨシノが次々と枯れ始めているのです。その植え替えとして、ソメイヨシノより丈夫で花色が少し濃いジンダイアケボノやコマツオトメといった園芸品種が植えられることも増え、早咲きのカワヅザクラの人気も高まっています。今の子どもたちが親になる頃には、「サクラ」の景色もまた変わっているのかもしれません。



※写真毎の解説は以下となります(順番は左→右となります)。



1:満開のソメイヨシノ。枝を低く横に伸ばす樹形も特徴。



2:ソメイヨシノの花。白に近い淡いピンク色で、枝が見えないほど密集して咲く。



秋のソメイヨシノ。赤〜オレンジ色に紅葉してなかなか美しい。



4:ヤマザクラの花。赤い若葉と花が同時に開くので、ソメイヨシノと区別できる。



八重咲きサクラはヤエザクラ(八重桜)と呼ばれる。オオシマザクラから作られた園芸品種が多く、サトザクラ(里桜)とも呼ばれる。花期が遅いものが多く、ゴールデンウィーク中も花が見られる。



ソメイヨシノの葉についたクワゴマダラヒトリの幼虫。この毛虫に毒はないが、有毒の毛虫もつきやすい。



ソメイヨシノの葉の蜜腺に蜜を吸いに来たアリ。若葉の時によく蜜が出て、人がなめても甘い。



左がソメイヨシノ(長さ10㎝前後)、右がウメの葉。葉柄の蜜腺が特徴だが、ウメの蜜腺は小さいか、ない場合も多い。



満開のウメ。2〜3月に花が咲き、色は白、ピンク、紅色など。枝を切ると腐りやすいサクラとは対照的に、ウメはよく枝を切られた角張った樹形が多い。



10サルノコシカケが生えたソメイヨシノの老木。キノコが生えた木は、幹の内部が枯れ始めている。



 




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