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《学びの森の生態図鑑17》


■カメムシ考■




『カメムシ=臭い』というイメージです。今の季節、館内の掃除をすると窓枠やカーテンの中などから、わらわらと出てきます。ちょっと、刺激を与えると身を守るために物凄い臭いを放ちます。

今回はその嫌われ者の『カメムシ』にスポットを当ててみたいと思います。



【アカスジキンカメムシ】

一番手は、別名『歩く宝石』。きらきらと輝く緑色は、そのまま指輪にしたいほどです。キンカメムシの仲間は臭いがしないといわれています。



 



【アカスジキンカメムシの5齢幼虫】

この姿で越冬します。一見、別のムシかと思うほど、姿形が違います。どれもインパクトのあるお姿。



 



【アカスジキンカメムシのチビ助たち】

コロナ禍当時、屋外に置いてあるアルコールを拭きに行くと、机いっぱいに全長4mm程度の得体のしれないムシがびっしりとむらがっていて、絶叫!冷静になってみると、アカスジキンカメムシの3~4齢幼虫ではありませんか!?なぜ、そこに群がっていたのかは不明・・・こんなにチビ助のときからキラキラなんです。



 



【クサギカメムシ】

一番メジャーな『クサギカメムシ』

成虫越冬で、家の中に入り込み大変なことになります。洗濯機で一緒に洗っちゃったり、倉庫に干していた作業着に40匹くらい入っていたりと、県民の森でも大騒ぎです。とても、と~っても、臭いです。



 



【エサキモンキツノカメムシとウシカメムシ】

●エサキモンキカメムシ

昆虫学者の江崎悌三氏が命名し、黄色い紋がついているツノカメムシ科のカメムシなので『エサキモンキツノカメムシ』

背中のハートマークを見たら、一生忘れないカメムシです。このカメムシ、メスが卵に覆いかぶさって天敵から守ることで知られています。暑い日は羽であおいでくれるんですって!母は強し!

●ウシカメムシ

1cmに満たない小さなカメムシ。最初に目を引くのが、トゲ状に飛び出した胸の形。それが牛の角のようだとのことからの命名です。羽根の模様も精密で美しく、残念ながら写真はありませんが、正面からみた顔の部分はおしゃれな仮面のように金色に近い色の筋が入り、戦隊ものの悪役のようです。



 



【マツヘリカメムシ】

北アメリカ原産、日本でも2008年に東京で初めて発見されて以来、全国に広がっています。マツ科の植物への被害が問題視されています。

15~20mmと大型で、このカメムシは『青りんごの様な臭い』がするのです!



 



【オオトビサシガメ】

20~30mm、大型の肉食カメムシ。クサギカメムシを食べます。長い口吻で獲物を突き刺し、毒液を流し込んで仕留めます。動きはゆっくりで人間に害を及ぼすことはほとんどありませんが、捕まえた時に身の危険を感じると刺すことがあり、とても痛いそうです。重症には至りませんが、ご注意を!



 



【トホシカメムシ】

背中に星を背負っています。本来は、黄褐色。この子は脱皮したてでしょうか?鮮やかな黄色がきれいですね!



 



カメムシは世界には2万5千種以上、日本には千3百種以上生息しています。

ほとんどの種類が口吻で植物の茎や果実などの汁を吸うため、農業や林業の観点からは害虫とされています。ただし、雑食性や肉食性のカメムシは他の小さな昆虫を食べるので、益虫として無農薬農業に貢献することもあるとのこと。

カメムシの強烈な臭いは生存戦略として進化した手段です。敵を撃退するとともに仲間に敵の存在を知らせます。そうやって、自分たちのテリトリーを安全に守っています。

しかし、その臭いをものともせずに、食べちゃう天敵もたくさんいるのです。野鳥は、ぱっくり食べちゃいます。モズのハヤニエにカメムシもあったそう。他にも寄生バチやカマキリ、トカゲ、クモなども天敵です。自然界では大切な被捕食者としての役割も担っています。生態系のビラミッドには欠かせない昆虫です。

そして、よく観察してみると、なかなか面白いものです。

蛇足ですが、カメムシの臭いは薄めて香水に使われているそうですが、ご存じでしたか?



 



 




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