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《学びの森の生態図鑑 No.12》

「宮城県蔵王野鳥の森自然観察センター ことりはうす」のそばにある野鳥の森はいろいろな生き物が生息していますが、今回は野鳥の森で最近見られるようになった「招かれざるいきもの」について紹介します。

「特定外来生物」という言葉をご存じの方も多いと思います。

「特定外来生物」とは、外来生物(海外起源の外来種)であって、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から指定されます。(環境省HPより抜粋)

飼育のほか保管、運搬、輸入も禁止されています。}

野鳥の森でもこの特定外来生物が生息、あるいは観察されることがあります。

また以前は住んでいなかった生物が行動範囲を広げ、見られるようになったものもあります。



ガビチョウ(特定外来生物)

森に響き渡る大きな声で鳴き、他の鳥の鳴きまねもします。東北南部には確実に生息域を広げているようです。野鳥の森でもほぼ一年を通して観察されます。野鳥の森にいるガビチョウは、ウグイス、クロツグミ、ツミなど多彩な鳴き声を披露するため、惑わされることもありますが、基本の鳴き声はやはりガビチョウの声なので、よく聞いているとわかります。



ソウシチョウ(特定外来生物)

野鳥の森で初めて観察されたのは2021年の秋。それからしばらく目撃がなかったのですが、今年は2回数羽いるのが観察されました。いずれも10月終わりから11月の晩秋。漂鳥のように平地と山を移動している途中で観察されるのかもしれません。



ニホンジカ(ホンシュウジカ)

野鳥の森の定点カメラに写っていました。古くは宮城県全域に生息していたニホンジカですが、乱獲等により、数を減らし、近年はこの蔵王には生息していなかったいきものです。県北部から移入したのか、どこから来たのかはわかりませんが、ここ数年目撃が増えています。ニホンジカによる農作物や森林の被害などを考えると増えすぎるのは望まれません。捕食者がいなくなったことや、少雪により小鹿の生存率が高まったことなど、いくつかの要因があるようです。人とシカがどう共存していくのか、どのような取り組みが必要なのか、考えていかなければなりません。



イノシシ                

イノシシも数を増やしています。ことりはうすの周辺や、野鳥の森など、地面を鼻で掘り返して、ミミズなどを食べているようです。人を見ても恐れず、農作物への被害もあり、問題となっています。イノシシと言っていますが、野鳥の森の定点カメラの映像を見ると子だくさんなことがわかりますので、イノブタというのが正しいのかもしれません。

学びの森の生態図鑑 No.8でニホンザルについて投稿しましたが、野生動物と人との距離が保たれていない事例が増えてきています。人為的要因も含め個体数が増えているからなのか、人によって生息域が奪われていったことが原因なのか、いずれにしてもあまり目にしなかったいきものが頻繁にみられるようになる度にこれまでバランスの取れていた生態系が壊されるのではないかという危機感を覚えます。


(写真・解説の提供:宮城県森林インストラクター協会)

 


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