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《森の植物の歳時記》 [137] 【フユイチゴ(冬苺)】
冬の山道を歩く時、真っ赤に熟すフユイチゴを見つけて口にしたことはありませんか。
晩秋から初冬に熟すイチゴの意味です。
比較的日当たりの良い林床や林縁に生育します。
夏に咲く白い花は大きな葉の陰に隠れるように咲いて、気づくことは少ないのですが、冬に熟す果実は周りの草が枯れていることもあり、注目を集めます。
フユイチゴの実を夢中になって食べている子供さんを見かけました。「動かないのですよ」お母さんが笑っておられました。嬉しい体験だったのでしょうね。
普段食べているイチゴはオランダイチゴと言います。表面に黒い斑点があるのにお気づきでしょうか。痩果(そうか)と呼ばれ、種子です。食べているのは花托(かたく)と呼ばれる花の台になっている部分が肥大したものです。
一方、フユイチゴは花托の上に液果と呼ばれる種を含んだ果実が並び、その中に種子が入っています。
いずれにしても、人間を含めた動物は種子も一緒に食べてしまっていることになります。
冬の山道で見つけたら、ちょっとだけお味見をしてみませんか。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
フユイチゴの花
オランダイチゴ