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《森の植物の歳時記》 [124] 【ヒヨドリジョウゴ(鵯上戸)】
山野から人家近くまで、あちこちで見かけるつる性の多年草です。全体をうぶ毛のような腺毛に覆われています。葉柄で絡まって伸びます。夏に白、稀に薄紫の花を咲かせます。
秋に赤く熟す果実をヒヨドリが好んで食べることから、ヒヨドリジョウゴ(鵯上戸)の名がついたと言われていますが、ヒヨドリだけに限らず、鳥が食べている姿はあまり確認されていませんが、鳥が種子散布に貢献していることは確かなようです。
全草、特に果実はソラニンなどのアルカロイド系有毒成分を多く含んでおり、下痢、嘔吐などの中毒症状を引き起こします。運動中枢、呼吸中枢の麻痺を引き起こして、死に至ることもありますので注意が必要です。
全草を干したものを煎じて、皮膚疾患なとの外用薬として使う民間療法もありますが、患部の傷などから成分が血液中に入る危険性もありますので注意が必要です。
人間が食べると有毒な植物なのですが、鳥は解毒酵素を持っており、無害なものに分解していると解説されています。食べられた果実の中の種子は他所に運ばれ、排泄され、分布を広げます。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)