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《森の植物の歳時記》 [115] 【オケラ(朮)】
恋しけば袖も振らむを武蔵野の 朮が花の色に出なゆめ
万葉集の東歌にオケラは3首詠まれています。内2首が武蔵野で詠まれています。万葉集では古名で“ウケラ宇気良”と読まれていますが、語源ははっきりしていないようです。
白い花が一般的です。白い花に託して、恋心で顔を染めて人目につかないようにと戒めているのでしょうか。秘めた恋だったのでしょうね。
ツリガネニンジンの時に話題にしました“山で美味いはオケラとトトキ”。オケラとトトキ(ツリガネニンジン)が山菜の王とされています。4~5月頃の若芽はあくがなくて食べやすいのですが、地域によっては希少種になっていますので、気を付けましょう。
白朮と書いておけらと読み、山椒、肉桂なと数種の薬草と共に味醂に浸したものがお正月の屠蘇になります。平安時代ころから、一年の邪気を払うとしてお正月に飲まれています。
京都祇園の八坂神社で大晦日の行事として知られる“おけら参り”は社前で焚かれる火に白朮をくべ、この火を吉兆縄と呼ばれる火縄に受けて持ち帰り、雑煮の火種にする行事です。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)