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《森の植物の歳時記》 [105] 【ツリフネソウ(釣舟草)】
花の姿を吊るして使う舟形の釣り花入れに見立てた名前と言われています。やや湿ったところを好んで生える一年草です。
花を包んでいるように見えるのは萼(がく)で、入口が広く開いていて、奥に行くほど狭くなり、最後はくるんと巻いています。距(きょ)と呼ばれるこの部分に蜜が溜まっています。
マルハナバチなどの虫が蜜を求めて集まります。花の大きさが訪花する虫のサイズになっています。頭から花に入った虫は奥にある蜜に向かうのですが、狭いので、吸蜜後、そのまま後ずさりして出てきます。その時、背中に花粉をつけて受粉に貢献します。クマバチなどは距の部分に外から穴をあけて蜜を吸います。ホシホウジャクなどスズメガの仲間は長い口吻で蜜だけを吸います。盗蜜と言われて困った行為です。
結実した果実は触ると果皮が弾けて種子を弾き飛ばします。英名のTouch-me-not、私に触らないで!とでも訳しましょうか、機会がありましたが実感してください。
近年、オオキツリフネ(大黄釣舟)(仮称 千葉県植物誌資料22)と呼ばれる外来のツリフネソウの仲間の繁殖が問題になっています。
廣畠眞知子氏(千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
以下、オオキツリフネ(大黄釣舟)